カーボンを生かしてスノーボードを盛り上げる!そして世界のトップを獲る。

2019 / 01 / 10
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ヨネックス株式会社 製品開発部 八重樫 洋和さん

「YONEX(ヨネックス)」と聞くと、まず頭に思い浮かぶのはテニスやバドミントンといったラケットスポーツではないでしょうか?

しかし、そんなヨネックス。実はスノーボード業界にも参入しており、オリンピックなど大きな国際大会で活躍するようなライダーも使用する多くの板を開発・発売しているんです!

何故、ヨネックスがスノーボード業界に参入したのでしょうか?
今回はその疑問を解決するべく、スノーボード製品の開発を担当している。ヨネックス株式会社 製品開発部の八重樫 洋和(やえがし ひろかず)さんにお話をお伺いしてきました!

雪国にある自社工場がスノーボード開発の始まり

ヨネックスがスノーボードに参入したきっかけを教えてください。

八重樫さん
ヨネックスは1946年創業、1957年よりバドミントンラケットの製造を開始し、1963年にはバドミントンラケットの生産・販売で日本一を達成しました。
その後テニス業界やゴルフ業界へと進出し、カーボン製の革新的ギアを生み出し続けてきました。

そのギアを製造している工場は、豪雪地帯としても知られている新潟県長岡市にあります。
立ち上げ当初の担当によると、新潟県には当時、スキーメーカーが数社あり、創業者である米山 稔にもスキー板の製造の打診があったそうです。
しかしながら、スキーに関しては大手数社の寡占の傾向が強まっていて、スキーへの参入は見送っていました。

新潟県長岡市にある「ヨネックス株式会社 新潟生産本部」

その後次第にスキーではなく「スノーボード」の流行の兆しが日本国内にも見られるようになってまいりました。

スノーボードについてはスポーツというよりもレジャーと捉えられており、数多くのブランドの乱立状態だったので、違った切り口から参入すればいいのではないかと思い、1995年にスノーボード業界に参入を決めたということです。

オールカーボン製スノーボードが世界に衝撃をもたらす

ラケットからスノーボードの開発をすることに難しさはなかったのですか?

八重樫さん
当社のメイン商品であるラケットやゴルフクラブの素材の歴史は木材から金属、そしてカーボンへと目覚ましく進歩を遂げており、現在ではわずか5gのシャトルを時速400km近いスピードで打ち出すバドミントンラケットの開発等、様々なスポーツシーンの変化をもたらすようになっています。

バトミントンラケット「ASTROX99」

その技術を駆使し、当時の担当は、木材の良さを継承しつつ、更にその性能を超える為のカーボン成形技術を応用し、当初より木材を使用せず、カーボンによるスノーボードの開発に着手しました。

とはいえ、高いカーボン技術はありましたが、ラケットとは質も形も使い方もまったく異なるスノーボードでは、反発とねじれ、耐久性、そして操作性が求められ、さらにそれをいかに軽量化するかということは大きな挑戦であり、新たな開発が要されました。

滑走時におけるスノーボードの動きを研究すると同時に、乗り手の感覚的なフィーリング、滑りやすさをテストしてヨネックススノーボードが誕生しました。そして「世界初。全身カーボン。」のキャッチコピーを掲げ、ヨネックスは1995年にスノーボード業界へ参入したということです。

参入当初のスノーボード板「gatta」

スノーボードの板は世界で作られている約80%が芯材に木材を使用しており、カーボンを使用したボードはありませんでした。その為、オールカーボン製のスノーボードは衝撃をもたらしました。

業界への認知も苦労されたのでは?

八重樫さん
当時の担当によると、その頃スノーボードは、趣味・カルチャーで成り立っている世界だったそうです。

そんな趣味の世界の中に、ヨネックスのようなガチガチのスポーツメーカーが参入してきて最初は全く相手にされなかったそうです。
しかし、ヨネックス自体ラケットスポーツ関係で多くのスポーツ店との取引があったのでその付き合いから認知を広げていったと聞いています。

また、ラケットの試打会という文化をヨネックスは作っていたのでその文化をスノーボードにも生かして、試乗会と題し多くの人に触れてもらう機会を設けました。

スキー場で開催されている、新作の試乗会

試乗会はやはり開発にとってものすごく重要になってきますか?

八重樫さん
ヨネックスのスノーボードはカーボンの性質を100%引き出す為に必要とされる完璧な設計と製造過程があり、これは他のどのブランドにもまねできない技術だと自負しています。

さらに、大量生産型ではなく自社工場で職人の手によって丁寧に作られており、徹底した製造と品質管理を行っているからこそ、高品質なカーボンボードが生み出されています。

その技術を支えているのが、試乗会でいただいたユーザーの声になります。

参入当初より業界でいち早くユーザー試乗会を取り入れ、数十万人にも上る試乗実績から得たデータをフィードバックし開発へと反映してきました。
国産ブランドだからこそできることです。
また、次世代のトップ選手から得られる新たな要求が革新のテクノロジー開発に結び付くと考え、選手たちの夢に寄り添いながら開発や生産技術向上を図っています。

他がカルチャーで攻めるなら、自分たちはアスリートを攻める

ヨネックスのスノーボードは中上級者向けが多いイメージがありますがなぜでしょうか?

八重樫さん
ヨネックス以外の他社が趣味・カルチャーの世界を追いかけているので、同じ道を歩むというよりかは競技に特化をして攻めるべきだと思いました。
そこでオリンピック種目であるという観点からもアスリート寄りの製品開発をしようと思い、その結果、中上級者向けがメインとなっていきました。

プロのスノーボーダーの板を開発するのはすごく大変なのでは…?

八重樫さん
すごく難しいです(笑)。

選手はほんの少しの感覚の違いを擬音で表現してくるので、その選手の感覚を聞き出して、板に落とし込むのはすごく苦労しています。
長い人だと2年間で約20試作ぐらいをして自分に合う板を見つけていきますね。

市場の減少は悲観せず、メーカーとして競技全体を普及させていく

競技者としてスノーボードを行う競技人口は多いのですか?

八重樫さん
ハーフパイプやスロープスタイルなどの全種目を合わせても競技人口は1万人に満たないぐらいです。競技者数は年々減ってきていますね。

昔は、レジャーとしての楽しみと競技としての楽しみの境目で楽しんでいた部分があり、誰が上手いという基準が定められていないからこそ、誰よりもかっこよく滑りたいという欲求のもと競い合っていた部分があります。

しかし今はレジャーとしての要素が強くなっているなかで、その想いはだんだん薄れてきて競技として始める人が少ないのかもしれません。

スノーボード市場が減少傾向になっている現状をどのように考えて、何を発信していくのですか?

八重樫さん
確かにスノーボードは一時のブームから減少傾向といえますが、悲観はしていません。ファミリー層がスキー場に戻っているという話も最近聞きます。
また、平昌オリンピックのハーフパイプで選手が活躍したことから、スノーボード教室の体験者が増加したという話もあります。ヨネックスは高機能&高品質な製品を開発することで、よりスノーボードの楽しさを感じてもらえるよう取り組んでいます。

さらに、スノーボードの楽しさを多くのジュニアプレーヤーに伝え、中長期的視野で普及活動を行っています。

(ジュニア向け)YONEX JUNIOR GROW UP PROJECT、(大人向け)大人のお稽古といった無料レッスン会を全国各地で行っています。初心者も大歓迎で、ヨネックスのコーチングスタッフが参加者の目標をクリアできるよう指導します。
楽しみながら技術向上を目指すとともに、レッスン会や大会で優秀なジュニアや意欲の高いジュニアには、引き続き指導及び支援する機会も設けています。

マーケットが拡大していかないと、メーカーとしても苦しくなってきますし、市場は伸びていかないです。
なのでヨネックスだけではなくスノーボードメーカー全体として普及をしていきましょうという部分はすごくあります。

最高の製品を作って、最高の色のメダルを獲得してほしい

最後に八重樫さんの今後の夢を教えて下さい。

八重樫さん
最高の製品を開発して、選手がオリンピックで金メダルを獲得できるようにサポートしたいと思っています。
選手の活躍により、次世代の子供たちやスノーボードを離れた方、未経験の方がスキー場でスノーボードをしてくれる起爆剤になると思います。
メーカーの垣根を越えて業界全体でスノーボードを盛り上げていきたいですね。

取材を終えて

スノーボードを開発している方にお話を聞くことで、今シーズンのスノーボードは観戦・体験も含めて少し違った目線で意識をしてみることになる予感がしています!
スキー場も続々とオープンしていくなかで、ヨネックスのスノーボード事業からも目を離せないですね!
是非皆さんも「ヨネックスのスノーボード」を注目してみて下さい!

【今回お話を伺ったのは】
ヨネックス株式会社 製品開発部 八重樫 洋和さん
【会社概要】
ヨネックス株式会社
創業:1946(昭和21)年4月
代表取締役:会長 米山 勉・社長 林田 草樹
本社所在地:〒113-8543 東京都文京区湯島3-23-13
ヨネックス株式会社 公式サイトはこちら
ヨネックス株式会社 スノーボード紹介ページはこちら
ヨネックススノーボード フェイスブックページはこちら
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