「ひとつくださいな」が気軽に言える和菓子屋さんには、80年以上続くこだわりが詰まっていました。

2018 / 10 / 30
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御菓子司 神楽坂梅花亭 井上 豪(いのうえ たけし)さん

皆さんの周りに、和菓子屋さんはありますか?デパートなどにある和菓子屋さんはちょっと敷居が高いな…と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんなあなたに、この記事を是非読んでほしい!
今回は、和菓子大好き編集部ひーちゃんが、神楽坂にある梅花亭の4代目である井上さんにインタビュー。若い世代にも愛される和菓子屋さんの魅力を探ります。

神楽坂の寄り道ポイント、梅花亭の和菓子へのこだわり

創業時から、この神楽坂で営業されているのですか?

井上さん
もともと新宿の都庁の近くで創業し、第二次世界大戦後に池袋に開店しました。その60年後、和菓子のイベントでお客様からご好評をいただいたことから「他の場所でもやっていける」という自信をつけ、池袋を離れた場所での開店を決めました。新天地を求めて探し回り、寺社に参拝する人や買い物に来る人が多く集まるこの神楽坂で、新しく店を構えました。

和菓子屋さんもあまり見かけることがなくなってしまいましたが…そんな中で83年続いてきた、梅花亭のこだわりは何ですか?

井上さん
良い素材をつかって、美味しいものを作ることをモットーにしています。
また、それぞれの和菓子がどんなものなのかを知ったうえで食べていただいた方が、より美味しく感じていただけると思っているので、お客様が気になったお菓子のお話をさせていただいています。
井上さん
和菓子も、ショーケースには入れずに並べて販売しています。和菓子とお客様の距離も近く、手に取っていただけるようにしています。

確かに、デパートの和菓子屋さんとは違って、気軽に覗けるお店ですよね。

井上さん
そうですね。お客様の年齢層も20~30代の方が多いです。1つから買っていただけるので、敷居の高いイメージはないかなと思います。仕事帰りに、自分へのご褒美に毎日ひとつ買って帰られる方もいらっしゃいますよ。

編集部が気になった、梅花亭のかわいい和菓子をご紹介!

神楽坂福来猫(ふくねこ)もなか

神楽坂は「猫の街」と言われるほど、路地に居ついた猫が多いそうです。町を歩いていると塀の上で寝ていたり、路地裏からこちらの様子をうかがっていたり…。そんな猫たちをモチーフに作られたもなかです。白猫「くる」はこしあん入り、ピンク猫「ふく」には白あんが入っています。二匹揃って「福来る」の紅白もなかになります。結婚式の引き出物に利用される方もいらっしゃるそうです。

飛躍うさぎ最中

見返りうさぎの形が愛らしい、うさぎの形をした三色もなか。日本では、うさぎは飛躍する、また幸運を呼ぶ、春になると雪解けと共に現れる、縁起の良い動物とされています。白うさぎにはこしあん、茶色うさぎには小倉あん、ピンクのうさぎには、白あんに柚子の皮を練りこんだ「柚子あん」が入っています。
梅花亭では、年末年始に限定商品として「干支もなか」を販売しています。そこで人気となったうさぎがレギュラー商品になったそうです。

エピソードを知っておくとさらに美味しい、人気の和菓子たち

浮雲

井上さん
これは、メレンゲの焼き菓子です。
私は小さい頃、空を見て雲の形から色んな動物などを想像するのが好きだったんです。そこで、メレンゲが雲と似ているなと感じ、お菓子にしました。今では一番人気の商品です。

鮎の天ぷら最中

井上さん
これは私の祖父が考案したお菓子です。
私の祖父は、第二次世界大戦後にシベリア抑留に行っていました。当時は食べ物も十分に与えられず、空腹の中で炭鉱労働をしている時に、母の作ったかき餅が食べたくなり、「生きて帰ったら、かき餅の味のお菓子を作ろう」と決めていたそうです。
無事生還した後、お餅をプレスして作っている最中を揚げて、かき餅に似たお菓子を作りました。形が鮎なのは、祖父の出身地である魚沼の鮎をイメージしているからです。

海外でも活躍中、4代目が手掛ける和菓子にご注目

井上さんは、小さい頃から和菓子職人を目指していたのですか?

井上さん
いえ、私は芸術系の大学で、油絵を勉強していました。卒業後は就職し、夜に製菓学校に通っていました。
父が梅花亭3代目であり、子どもの頃から和菓子の制作現場が遊び場のようなもので、小学生の頃は和菓子の配達の手伝いもしていました。小さい頃から和菓子との関わりが深かったんです。

店内には、井上さんが描いた上生菓子のデザイン画が。

井上さんの思う、和菓子の魅力を教えてください。

井上さん
和菓子は、日本の四季や行事に沿って作っているので、サイクルが早いんです。秋だとお盆やお彼岸があるので、1ヶ月に2~3回行事があることもあります。なので、いつ和菓子屋に来ても並んでいるお菓子が違っているので、変化があって楽しいと思います。「菓子は人なり」と言われるのですが、同じものを作っても、作る人によって全く違います。そういった所も面白いと思います。
自然のイメージを取り込んで形にするので、それも洋菓子にはないと思います。私も、よく山や川に行って、そこで受けたイメージをデザインに反映しています。

和食ブームが起きている中、海外での和菓子の評価はどのようなものですか?

井上さん
昨年、和菓子を海外に広めるためにイギリスに渡って公演を行ってきました。アフタヌーンティーの時間で和菓子を楽しんでもらったり、和菓子に合う紅茶やコーヒーをテイスティングしたり…。日本とは違った和菓子の楽しみ方をしてくださりました。
和菓子を作るところを見ていただいたのですが、海外の方には新鮮だったようで、とても興味を持っていただきました。宗教的な理由などで、植物性の食べ物しか食べることができない方も、「植物性の食べ物でこんなに美しいお菓子があるなんて」と注目されていらっしゃいましたよ。

井上さんが、今後チャレンジしたいことは何ですか?

井上さん
お客様の中には、和菓子を作っている様子を見られる方も多いので、その場で和菓子を作ってお客様に提供するような形での販売もやってみたいなと思っています。普段和菓子に触れる機会があまりない人にも、気軽に和菓子を楽しんでもらいたいです。

思わず手に取ってしまう、可愛いハロウィン限定の和菓子も。

取材を終えて

創業から83年、池袋から神楽坂へ場所を変えても愛され続ける梅花亭さんの和菓子は、誕生までのエピソードやこだわりを聞けるのも美味しさのヒミツ。お店も、どこか懐かしい雰囲気です。
ちょっとほっこりしたい日は、神楽坂の梅花亭さんでご褒美和菓子、買っていきませんか?

【今回お話を伺ったのは】
合資会社 梅花亭 井上 豪さん
神楽坂本店:東京都新宿区神楽坂6-15
ポルタ店:東京都新宿区神楽坂2-6 PORTA神楽坂1階
御菓子司 神楽坂梅花亭公式サイトはこちら
梅花亭オンラインショップはこちら

ライター・カメラマン/日原多瑛子(ひーちゃん)

BUMP OF CHICKENとディズニーを愛する、“関西弁と標準語のハイブリッド”なWIZOOM編集部のお姉さん。よさこいとライブにかける情熱は学生時代と変わらず今も健在です。
日常生活の中で疑問に思ったことを解決し、皆さんにシェアします!

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