はさみ一本で、進化させる。20代飴細工師の見つめる「これからの伝統工芸」

2018 / 10 / 28
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浅草飴細工 アメシン 手塚 新理(てづか しんり)さん

皆さん、飴細工って聞くとどんなものを思い浮かべますか?「うさぎや犬など、動物をかたどった可愛らしい飴細工を縁日で見かけたことがある」そんな方が多いのではないでしょうか。
今回は、飴細工とは思えないアート作品のような逸品をはさみ一本で作りだす、アメシンの手塚さんに日本の伝統工芸のこれからについてインタビューしてきました!

はさみ一本から生まれるのは、飴細工という芸術作品。

アメシンの飴細工の特徴を教えてください。

手塚さん
今までの飴細工にはなかった精巧なもの、透明な飴を活かした作品ですね。飴細工って、伝統ではあるものの、なんとなく路上で飴売りがやっているようなもので、ストリートカルチャーのようなものでした。職人として、工芸として成立するような形で飴細工を作っている人はいなかったんです。

飴細工の魅力は何ですか?

手塚さん
「シンプルさ」ですね。飴細工は、使う道具は握り鋏一本、飴が固まるまでの短時間で完成させなければならない。作るうえで、誤魔化しも効かないんです。作る人間の腕次第ですべてが決まるのは魅力的だと思います。

飴細工を楽しむときにどんなところを見てほしいですか?

手塚さん
絵や彫刻といった芸術作品と同じように、人それぞれだと思います。先ほどお話した通り、飴細工を作る工程も、飴細工の魅力だと思うのでそこも味わってもらえたらと思います。

伝統工芸師として、心がけていることはありますか?

手塚さん
「伝統だから守る」といった考え方、僕は好きではないんですよね。新しいことにチャレンジし進化させてきたからこそ、それが歴史になって伝統になっていく。伝統工芸の世界では、後継者が不足しているといわれます。私が今使っている握り鋏も、現在作れる職人さんは一人だけになってしまいました。なぜ衰退しているかと言うと、飯が食っていけないんです。技術の発展によって、道具の需要がどんどんなくなってきて生産自体が少なくなり、それに伴って、このはさみを使った伝統工芸を作る技術者も少なくなっていく。若い人が「やりたい」と思っても継がせられるような産業ではなかったり、職人を育てる環境がない。それ自体を変えていかなければならない。手塚さん
同時に、伝統工芸師が「やりたい」と憧れられる職業にしなければならないと思っています。飴細工師も花形の仕事になるように、世界で「いいよね」と思えるように、自分がスタープレイヤーでなければならないと思っています。そのためにも、常に新しいことに挑み続けることが大切だと考えています。

常にチャレンジをしている、ということは、何かに達成感を感じることはないのでは?

手塚さん
ないですね…。職人は「今日作ったものが、明日恥ずかしいと思わなければならない」と言われます。常に恥晒しでなければならない。当たり前のように向上心を持っていなければ、職人ではいられないと思っています。
常に自分との戦いを続けなければ、どこかで絶対転びますから。

今後の展望、チャレンジしたい事は何ですか?

手塚さん
色々あります。もう既に企画として動き出しているのでまだ公開はできないのですが…。やりたい事があれば、すぐに行動に移しています。「やりたい」と思い立った時にやらなければ意味がないと思っています。

飴細工師になって、良かったなと思うことはありますか?

手塚さん
「良くない」と思ってたら、辞めてますよね(笑)。立ち止まって振り返るよりも、常に良くしていく。そういう意味では、常に「良かった」と思ってもらえるようにしていかなければいけないですね。

進化の積み重ねが歴史になり、伝統になる

絵付け師が、手塚さんの作った飴細工に色を塗っていきます。

常に向上心を持つ…その考え方に行きついたのは、飴細工師になってからですか?

手塚さん
その感覚は昔からあったのかもしれないです。でも、飴細工師になってから、仕事においても人生においても“決断すること”はどんどん早くなってきたと思います。飴細工を作るのと同じですね。

若い世代に、伝統工芸のどんなところを知ってほしいですか?

手塚さん
伝統っていうのは、進化の歴史なんです。同じものを守っているように見えても、実際は時代に合わせて向上心を持って進化し続けたからこそ、それが今伝統として残っているんです。今も残ってきているものは、その時代に合わせて「良い」と思われるように進化を遂げていて、今でもちゃんと魅力があるし、そこから学ぶことはたくさんあると思います。これは伝統工芸に限らないと思います。どんどん向上させて、良いものにしていくことで自分の歴史になっていくんです。

取材を終えて

伝統は「守る」ものというイメージがありましたが、今回手塚さんのお話を聞いて、その時代に合わせて進化させていかなければ、未来に残すことはできないということに気付かされました。日々進化し続けるアメシンの飴細工、ぜひ皆さんも一度その目で見てみてください!

【今回お話を伺ったのは】
浅草飴細工 アメシン 手塚 新理さん
花川戸店
東京都台東区花川戸2-9-1堀ビル1F
営業時間:10:30~18:00
定休日:毎週木曜日
東京スカイツリータウン・ソラマチ店
東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ4階イーストヤード11番地
営業時間:10:00~21:00
定休日:休館日に準ずる
アメシン公式サイトはこちら

ライター・カメラマン/日原多瑛子(ひーちゃん)

BUMP OF CHICKENとディズニーを愛する、“関西弁と標準語のハイブリッド”なWIZOOM編集部のお姉さん。よさこいとライブにかける情熱は学生時代と変わらず今も健在です。
日常生活の中で疑問に思ったことを解決し、皆さんにシェアします!

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