自分の為だけの服、持っていますか?現代における染物の在り方とは。

2018 / 08 / 12
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染の里 二葉苑 代表取締役 小林 元文(こばやし もとふみ)さん

近年、海外での大量生産による安価な衣服や着物が多い中で、本格的な染物を、昔ながらの技法で作り続けている会社もあります。今回は、100年近くの歴史をもつ、「染の里 二葉苑」の小林さんに、現代における染物の在り方を伺ってきました。

現代における染物の在り方

時代と共に染物の在り方に変化はありましたか?

小林さん
古くからある染物の技術自体には変化はありませんが、染物の工房としての在り方は変わりました。従来であれば、問屋さんや呉服屋さんから依頼を受けて染物を作っていたのですが、現代では染めた作品を直接工房でも販売しています。また以前は、染物というと着物が中心のイメージがあったと思いますが、最近では技術を応用してスカーフやテーブルセンターなど、生活になじみやすい製品も作っています。昔との大きな違いは、色んなものを作ってみようという動きが活発になったことです。

なぜそういった動きが活発化したのですか?

小林さん
着物を着る風習が薄れてきたことは原因としては考えられます。昔は質のいいものを作っていれば売れる時代でしたが、今は違います。まずは染物の伝統を知ってもらうことが求められるので、業態が変わってきています。

体験教室の様子。

二葉苑でも、一般の方々が気軽に触れられるような、染物体験の教室を開催を行っています。

どういった体験教室を開催しているのですか?

小林さん
トートバッグを染める体験から、浴衣を染める本格的な体験まで様々です。季節に合わせて体験内容を変えたりもしています。教室に来られる方も、小学生の方からお年を召された方まで様々です。

海外の方からの人気も高そうですね。

小林さん
新宿区が伝統工芸品として告知をして下さっていることもありますが、体験教室に海外の方の参加が増えました。海外の方からすると染物の技法はもちろん、道具を含めすべてが新鮮に感じるようです。

若い世代の反応

若い世代は染物に対してどういった反応をされますか?

小林さん
若い人からも好評です。体験教室でも20代を含め若い世代の方々の参加がとても多いです。ひと昔前は、「和」の製品はダサいというイメージを持たれている方が多かったのですが、最近は見直されていて、若い人たちの間でも、カッコいい、おしゃれな印象に変わってきているようです。夏祭りなどで浴衣を着る若い世代は増えてきているようです。

最近ではお値段が抑えられた浴衣も多くありますが、染物の浴衣との違いについて教えてください。

小林さん
夏祭り等で、浴衣を着るのは年に1度きり、ということであれば、量産されたものでも決して悪くはありません。洗濯機で丸洗いできるもの等、時代に合わせて作られていると思います。私は、そもそもの魅力の根幹が違うと考えています。時代に合わせた新しい技術というものは、機械を導入することで量産できますが、伝統的な技術にこだわって、時代に逆行したモノ作りにこだわることは、歴史のなかで生まれてきた普遍性を残すことができます。

そういった意味では、魅力のジャンルが違い、それぞれに良さがあると考えています。染物の魅力は大衆に向けて作られた量産品とは違い、オーダーメイドで完全にその人の為だけに作ることもできます。

まずは、量産の浴衣から入ってその後、自分のためにしっかりと染められた着物が欲しいという方も、中にはいらっしゃるので、決して相反する存在ではないんです。

求めている人に届ける

決して安いものが悪いという訳ではないんですね。

小林さん
極端な例を上げると、世界中の皆様に購入していただきたいという訳ではないんです。こういった染物製品を本当に求めている方に届けられることが私たちにとっては大切なことです。少しでも興味を持つことができたなら染められた着物に袖を通してみてください。

『おちあいさん』

2020年で100年を迎える二葉苑ですが、今後の展望を教えてください。

小林さん
次の100年を迎えるためにも『おちあいさん』のプロジェクトには力を入れていきます。落合の土地で育った藍や柿などを使いながら新しい地域産品をつくる“地産地染”が『おちあいさん』の特徴です。1つの工房として、落合の染物を継承していくのではなく、地域をあげて共同で染め物の文化を届けていこうという考えです。『おちあいさん』は英語にすると『Made in Ochiai 落合産』になります。このプロジェクトを進め、落合の染物の技術を残し、特産品として広げていきたいです。

取材を終えて

自分の為に染めた着物は思い出に残り、大切な衣服として残り続けると小林さんはおっしゃっていました。時代に逆行して古くからの技術で作られた製品は、人の記憶に残りやすいのかもしれません。着物や浴衣を作ることに敷居の高さを感じるのであれば、まずは体験教室からはじめてみてください。

【今回お話を伺ったのは】
染の里 二葉苑(代表取締役)小林 元文さん
所在地 〒161-0034 東京都新宿区上落合2-3-6
電話番号 03-3368-8133
染の里 二葉苑の公式サイトはこちら
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