【東京で100年】都市農業ならではのこだわりの野菜を育てる農家とは

2018 / 07 / 24
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やすだ農園 安田弘貴(やすだひろき)さん 加奈子(かなこ)さん

東京都西東京市に100年農家を構えるやすだ農園。都市農業ならではの珍しい品種の野菜を栽培しています。
一体どんな野菜をどんな苦労があり育てているのでしょうか?
今回はやすだ農園の安田弘貴さん・安田加奈子さんにお話を聞きました!

時代の変遷とともに変わりゆく形

やすだ農園はどのような歴史を持っていますか?

加奈子さん
やすだ農園は100年続く農家です。その時代の時々に合ったやり方で、今日まで続いています。私たちとしては特段変わったことはしていないですが、丁寧に丹精を込めて、祖父母から続くこの農家を受け継いできています。
しかし、都市部の農園ということもあり、相続税が地方と比べると多くかかります。税金が高くて払いきれず、畑を売って税を納めました。祖父母が亡くなってからこのように2回、畑が減っていく経験をしました。
買い取った業者は、住宅地として土地を販売していました。
私は祖父母が営んできた畑で小さいころから育ち、大好きな環境だったんです。なので守りたいと思う気持ちはとても強くありました。それは大学生、社会人となっても変わらずにありました。
そんな時、今の夫と出会い結婚することになり、農家を引き継ぐことになりました。

都市だからできる農業

都市部で農業をするに当たって厳しい点はありましたか?

加奈子さん
昔ながらのやり方では食べてはいけないというところがあります。うちのようにそこまで大きくない畑では、野菜を大量に作るというよりは野菜の品質を上げたり、「やすだブランド」として売り出していく必要がありました。
特に地方の農家さんと差別化を図れるとしたら、比較的大量栽培のお野菜が多く並ぶスーパーや、八百屋では手に入りにくい、珍しい品種、高級品種の野菜を育てることだと思っています。
また、昔からやっていることとして直売所があります。地元の方や、食に興味がある方がよく来てくださっています。
販売形態として取り組んできたことは、祖父母が行っていた普通の農家と変わらない売り方から私の父が、15件ほどの近隣農家でグループを作り、「グループ出荷」を始めました。今ではよくスーパーで生産者の方の写真が貼られていて、陳列されているのをよく見かけると思います。市場に持って行って終わりではなく、どこで自分たちが作った野菜が売られているのかが分かるようになりました。30年前から行っていて、売れ行きも順調です。

農園の楽しさ

どんなところに農家の楽しさを感じますか?

弘貴さん
毎日とても忙しいです。ただ、その忙しい中で育てている野菜の1~10まで面倒を見ることができるのは大変ではありますが、同時にやりがいを感じます。品種選びから、成長させて、畑管理、土壌管理、販路開拓もすべて自分たちで行い、育てた野菜をお金に換えるところまで一貫して自分たちの仕事です。
普通の会社であれば何人も関わって成り立っているものだと思いますが、農業でもどこかが欠けてしまってはダメですし、一貫して自分たちで育てていくことで、よりやりがいも感じられると思います。
品種選びに関しては、その時々の流行もあリます。ですが、実際に種屋さんに自分たちで行って、何百種類ある中から決めます。ただ、日本には春夏秋冬があるのでその季節に1回しか撒けません。なので、種選びは慎重に行います。ただ、たくさんある作業の中では、比較的重労働でもないですし、多くの品種を知る勉強もできるので、楽しく行えています。
また、試験栽培という形で少量の種から試しています。やすだ農園には直売所があるので、そこでの売れ行きを試験的に見たり、自分たちでも食べてみたりして、栽培するのかを判断しています。いきなり何万粒買ってもリスクがあるので、試験的に栽培して、売れ行きが良ければ踏み切ります。ただ、すぐにレスポンスが返ってくるものもあれば、何年も浸透するまで時間がかかるものもあります。なので、最後は自分たちが多くの方に届けたい野菜になってきますね。
自分の農家に向くか向かないかはあるので、そこはトライ&エラーです。

おいしさへのこだわり

やすだ農園でのこだわりを教えてください

弘貴さん
私たちの農園では落ち葉を集めて、有機肥料、窒素を入れて、たい肥にしています。除草剤をなるべく使いたくないという想いと親からの伝統を受け継いでいます。除草剤はいい菌も悪い菌も殺してしまう部分があるので、少しでも自分の力で野菜が育つようにと思い、この形をとっています。丁寧に作ることで濃い味の野菜を届けられています。
ただ、こういった農薬が悪いかといったらそうではなくて、使っている農家が大半ですし、用法と容量を守れば安全です。しかし、農薬は割高なので、なるべく経費を抑えるためにも、減らす傾向を取っていることも事実です。毎年試行錯誤しながらどういった使い方が効率的なのか考えています。

農薬を使うと安く仕上がると思っていました!

弘貴さん
本当は農薬は高くて、同じ品種に使える回数が決まっています。そのため何回も同じものをかけられないので、農薬の種類をたくさん用意する必要があります。また、噴霧器のコストももかかるので、農薬を使っているから安いというわけではないです。
特にやすだ農園は○○農家ではなく多品目農家のため。この野菜にはこの農薬と決まっていています。なので普通の農家の方より多くの農薬の種類を用意していると思います。
こういった背景もあるので、できるだけ自分たちで薬に頼らずに育てていく、そして手作業で育てることで単価が上がるのであれば手作業でも試してみようと今は取り組んでいます。世間一般的に野菜はこの値段という概念がありますが、農家の苦労を知っていただけたら少しは変えていけると思います。また、いろんな野菜をいろんな方に食べていただきたいとは思っています。まずはやすだ農園を知っていただくのが1番の課題です。
そのあとにこういった苦労があって育ちぬくことができた野菜だけが皆さんのもとに届いているとどこかで知っていただけたら嬉しいです。

珍しい野菜

やすだ農園で育てている野菜でこれは一押し!という商品はどれですか?

加奈子さん
たくさんありますが、今の時期は「濃い味きゅうり」です。普通のきゅうりよりとげがたくさんあって、ゴーヤのような見た目のきゅうりです。これは地方の農家さんはあまり手を出さない品種です。その理由として、地方から輸送する際に箱に入れるのですが、きゅうり同士がトゲで傷つけ合ってしまうので、輸送しなければならない場所での栽培には向いていないです。やすだ農園は都市というところを生かしつつ、見た目のインパクト、おいしさ、を売りに「濃い味きゅうり」育てています。
また、露地トマトや枝豆もおすすめです。トマトは今の時代、ハウス栽培が主流ですがあえて露地栽培でトマトを育てることにこだわっています。露地トマト自体が珍しい事、程よい酸味がありバランスがいい事もあり、バイヤーさんに評価をいただいています。
枝豆は古い品種使っており、なかなかベテランのバイヤーさんでも見たことのない品種といわれることがあります。

これからのやすだ農園

これからやすだ農園はどのように変化を遂げていきたいと思いますか?

弘貴さん
今は、野菜がおいしいから買うという形に変わりました。
私たちには「楽しく農業をしたい」という想いがあります。しかし、お世話していても実りにはならない部分があります。やはりそこを、これからは知ってもらえたら一番いいなと思います。野菜は、その時々の自然の恵みがあるからこそできるものです。これからもこだわりは崩さず、取り入れられる技術は取り入れ、皆様においしい野菜を届けたいと思います。

取材を終えて

普段何気なく食べている野菜も、農家の方の努力や苦労があってのものなんだと、再確認できました。改めて、野菜の品種・価格などに視野を広げ、自分が良いと思うものを買う。これが大切なのではないかと思いました。
取材のご協力ありがとうございました。

【今回お話を伺ったのは】
やすだ農園 安田弘貴さん 加奈子さん
住所 東京都西東京市西原町2-1-31
電話番号080-3209-0813
やすだ農園のHPはこちら
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