「ネットで映画は損をする?」映画機関の研究員が伝える!「映画は映画館で見るべき理由」

2018 / 08 / 01
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国立映画アーカイブ 主任研究員 冨田美香さん

皆さまは国立の映画機関があることをご存知ですか。その名も「国立映画アーカイブ」。映画が好きな方にはもちろん、映画を鑑賞する習慣がない人にも楽しめる場所になっていました。なんとここ国立映画アーカイブ内には劇場もございまして、なかなか見ることのできないような古い映画を限りなく本来の形で上映をしていました。この度、国立映画アーカイブは何をしているところなのかに加えて、映画館で映画を見ることの魅力まで伺ってまいりました。『アイキャッチ画像:国立映画アーカイブ ロゴ/提供:国立映画アーカイブ』

唯一の国立映画機関

設立の経緯を教えてください。

冨田さん

国立映画アーカイブは、昭和27(1952)年に設置された、国立近代美術館の映画事業(フィルム・ライブラリー)から始まったものです。昭和45(1970)年に東京国立近代美術館フィルムセンターとして開館しましたが、当時も、美術館の一部門ではなく、映画専門の機関を望む声が強くあったようです。そうして、平成30(2018)年4月に第6館目の国立美術館、国立映画アーカイブとなりました。

「展示室/提供:国立映画アーカイブ」

どういった活動をされているのですか?

冨田さん
日本で唯一の国立の映画専門機関として、映画の保存・研究・公開を通して映画文化の振興をはかる活動をしています

具体的な活動内容を教えてください。

冨田さん
中心的な活動は、映画と映画関連資料の保存と公開ですね。貴重な映画フィルムや、本などの映画関連資料を収集して、検査や登録を行い、次の世代へと確実に届けられるように、適切な温湿度環境で保存しています。

古いフィルムが見つかって損傷がひどい時や、非常に重要な作品などは、その作品本来の姿の再現をめざして、復元を行っています。傷みのひどい映画関連資料についても、修復や複製などをしています。これらの所蔵作品は、館内の上映ホールでの企画上映や展示室での展示、図書室での閲覧を通して公開していますし、館外での共催上映や貸出でも公開しています

どういった方が訪れますか?

冨田さん
特集テーマごとにお客様の層は変わりますが、上映は40代以上の方が多いですね。特に常連の方には、20代の頃から映画館に通い慣れていらっしゃる中高年の方が多くて、これは海外のフィルムアーカイブでも同じ状況のようなんです。

しかし、若い人に向けていないということではありませんよ。国立美術館には大学などを対象としたキャンパスメンバーズという会員制度があって、無料または割引で見ることができます。特に若い人たちはフィルム上映を見る機会が少ないでしょうから当館を利用していただきたいですね。

ネットで映画を見ることは損をしているかもしれない。

若い人たちが映画離れをしているように感じますか?

冨田さん
「映画が好き」という若い人たちは今でも多いですよね。映画館で映画を見る人や回数が減っているだけで、DVDやネットで見ている人たちはまだ多いと思います。

なぜ「映画館」離れが起きていると考えますか?

「長瀬記念ホール OZU/提供:国立映画アーカイブ」

冨田さん
DVDやネットで安価にいつでも好きな時に見られるようになったことが大きな原因かと思いますが、映画館で、映画の映像と音空間に全身を包まれてこそ得られる、圧倒的な感動体験が少ないこともあるのではないかと思いますね。映画鑑賞って、本来そういうものですよね。ぜひ、国立映画アーカイブでそういう本来の作品の楽しみ方をしていただきたいですね。

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