【後編】弱みは強みとワンセット!コンプレックスを武器にしよう

2018 / 05 / 25
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デジタルハリウッド大学大学院 デジタルヘルスラボ・ファッションテックラボ 守矢 奈央さん

皆さんは、「自分のこういうところが嫌いだな」と思った経験はありませんか?仕事で何か失敗をしてしまったときだけでなく、普段の生活の中でも自分のコンプレックスは見えてきますよね。一つ自分の嫌な部分が見えてしまうと、どんどんマイナス思考になってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も、学生時代は自分がとにかく嫌いで「なんで自分はこんなにダメなんだろう」とも考えていました。自分のマイナスなところだけに注目していても楽しくないですよね。では、自分のコンプレックスとどう向き合えばいいのでしょう?今回は、掌蹠多汗症(局所多汗症)と向き合いながら、多汗症患者さんに特化した靴下「汗足」の開発をしていらっしゃる、デジタルハリウッド大学大学院 デジタルヘルスラボ・ファッションテックラボの守矢さんにお話を伺ってきました!

守矢奈央さん
出身:東京
デジタルハリウッド大学大学院2年生 デジタルコンテンツ研究科 デジタルコンテンツ専攻
デジタルヘルスラボ、ファッションテックラボ所属
大学4年生の時に就職活動をしていたものの、内定をすべて断り院への進学を決意

今回は後編として「athe」にかける思いや発足までの経緯、コンプレックスとの向き合い方についてお話していただきます。

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局所多汗症とは
手のひらや脇など、体の一部に多量の発汗が見られる疾患。
原発性と外傷や腫瘍などの神経障害による続発性局所性多汗症がある。

多汗症患者の生活になじめるものを作りたい

「athe」発足までの経緯を教えてください。

守矢さん
私手のひらと足の裏に異常な発汗が見られる、難治性重症原発性掌蹠多汗症と呼ばれる重度の多汗症です。自分の手汗でPC、スマホを水没させてしまうほどなんです。例えば高校時代まで、教科書は汗で破れたりシワシワな状態、テストの解答用紙には穴が開いて書くことも消すこともできなくなる、そもそもプリントを後ろに回すにもすごく気を遣うなど特有の悩みがあります。特に人と手を繋ぐことや握手をすることは本当に苦痛だなと思うくらいハードルが高いです。また足裏も異常な発汗によって裸足でサンダルが履けなかったり(自分の汗で滑ってしまうため)、家の中でも靴下を履いていないと生活できないほどです。

守矢さん
多汗症は致死疾患ではないのですが、著しく生活の質が下がる疾患です。15歳以下で発症するとされ、遺伝などもあるそうですが、私の場合家族に一人も同じ症状の人はいません。また多汗症と併発する病気としてうつ病が挙げられ、実際に自殺してしまった方もいるそうです…。致死疾患ではないけれど、自ら命を落としてしまうほど悩まされる疾患であることは間違いありません。私も多汗症のせいで対人関係での悩みがありました。今でもそういった悩みはありますね。多汗症の人は普通の人が気付かないところで困っています。普通の人が当たり前にできることが、私たちにとって当たり前ではないのです。多汗症の認知度をUPさせること、治療法の研究が進むような活動にすることも目的です。
普段の生活の中で、多汗症のせいで素材によっては着ることが困難な服があります。実際にファッションの選択の幅が狭まってしまうことや、日常生活において支障をきたすことが数多くあります。なので+1アイテムでより快適な暮らしになるような手助けをしてくれるプロダクト制作をしようと思ったことがきっかけです。

「athe」にかける思い、こだわりを教えてください。

守矢さん
多汗症の人の生活になじめるものにこだわっています。吸水速乾に優れているものですね。普通に販売されている吸水速乾のものでも多汗症の人にとってはほとんど意味がないんです。スポーツ用品等ならちょっと効果があるけれどファッション性があまりなかったりします。なので機能性は保ちながら、生活になじめるものを作りたいです。
あとは、天然繊維を使うことですね。多汗症の人は汗で皮膚トラブルを起こしてしまうことが多いので、肌に優しい素材で作りたいです。

「athe」として今取り組んでいることは何ですか?

守矢さん
靴下の開発と、患者コミュニティの形成です。
多汗症の患者コミュニティはネット上ではあるのですが実際は機能していないものが多いんです。私は実際に多汗症の人たちが対面で会える場所を作って、悩みを共有する機会を作りたいです。
多汗症を隠している人が多いので、そういった人たちが安心して来ることができる場所になればと思っています。

今後の展望は何ですか?

守矢さん
ブランドとして成立することです。この1年で販売までこぎつけることができればなと思っています。でも、「これでいい」と妥協するのではなくちゃんと納得いくものを作りたいです。

今後のファッションデザイナーとしての夢は?

守矢さん
「athe」を作ることはできたのですが、まだ起業には至っていないのでゆくゆくは起業したいですね。
そのためにももっと商品展開を広げていきたいです。今は靴下だけなのですが、Tシャツとかいろんなところに繋げていきたいと思っています。
あとは、商品がいろんな人に届くようにしたいですね。多汗症は症状が出る部位によって悩みは違うので、生活にしっかり落とし込めて、生活になじめるものを作りたいです。

コンプレックスを原点にする

多汗症だからこそできた経験はありますか?

守矢さん
大学院1年生の新入生合宿の時に、初めて大勢の人の前で多汗症を告白しました。とても緊張して、告白するのにはかなりの勇気が必要でした。でも、当時新大学院生の留学生が私の話を聞いて「すごいね、勇気があるね」と声をかけてくれました。私はその時生まれて初めて、多汗症である自分を受け入れることが出来たんですよね。なので本当に嬉しかったです。同時に、この病気は自分の中で本当に悩みが根深く、最大のコンプレックスなんだと改めて気づくことが出来ました。
デジタルヘルスラボの学会の立ち上げの際にも、多汗症と自分の研究内容についてを約100人以上の医療関係者の方たちの前で講話をさせていただきました。多汗症がなければこんな経験は絶対にできなかったと思います。

どのようにコンプレックスと上手く付き合っていけばいいですか?

守矢さん
コンプレックスは誰しもが持っているものだと思いますが、自分で弱みだと思っているところは「人よりも長くそこに向き合う時間が長いから、強みにつながる」と言われたことがあり、そこでコンプレックスは自分の最大の強みであり個性なんだなということに気がつきました。
コンプレックスは誰しもが持っているものなので、自分にとっては弱みかもしれないけれど強みとして考えてみることが大切です。自分にとっては弱みだったものが他人からすると強みかもしれないですし。例えば、見た目にコンプレックスがある人はメイクがすごく上手で、YouTuberになったりメイクアップアーティストになったり。
自分のコンプレックスに対して、悩むだけでなく解決策を見出そうとしたり…とにかく外ではなく、自分の内に求め続けることがうまくコンプレックスと付き合う方法かなと。正面からコンプレックスに向き合って考え続けることで、自分なりの答えが出ると思います。
私はこの疾患とうまく付き合うのにものすごく時間がかかりました。しかし、視点が変わったことで一番の悩みが一番の強みになる瞬間があるということを経験しましたね。

コンプレックスを抱える人にメッセージをお願いします

守矢さん
ありのままの自分を受け入れることが大事だと思います。周りと比べる必要はないんです。日本人は自分の弱みに注目しがちな部分がありますよね。「みんな一緒がいい」と思ってしまいがちですが、「それぞれに良さがある」ということにもっと気付いてほしいなと思います。
発想の転換をしたり、見方を変えると世界は広がります。逆に、「自分のこの部分がコンプレックスだな」と思うだけでは殻に閉じこもってしまいます。
弱みを確実に強みに変えること、最大のコンプレックスを原点にすることで私は多汗症と向き合えました。
「どうすればいいかな?」という課題解決意識を持って、考え続けることが大事なんじゃないかなと思います。私はコンプレックスを解決するためのプロダクトを開発するというところに着地し、結果それが自分のやりたいことになりました。どんな時も「弱みは強みとワンセット」です!

取材を終えて

コンプレックスと一言で言っても外見や性格、能力など様々ですよね。自分の嫌な部分は自分にしか分からないもので、他人になかなか理解されないことも多いと思います。だからこそ自分でどう向き合っていくのか、どうすれば強みに変えることができるのかがコンプレックスとの上手な付き合い方ですね!

【今回お話を伺ったのは】
デジタルハリウッド大学大学院 デジタルコンテンツ研究科デジタルコンテンツ専攻 守矢 奈央(もりや なお)さん
デジタルハリウッド大学大学院 公式サイトはこちら
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